
Sophos Firewall v23:進歩、限界、残された課題
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Sophos Firewall v23 を自宅ラボで約2週間テストしてきた。最初の印象は複雑だ。新しいルール表示は気に入っているし、REST API も良い方向だと思う。一方、管理画面には、異なる時期に開発された部分が並んでいる感覚が残る。新しい表が一つ加わっても、管理全体が現代的になるわけではない。
私が重視するのは新機能の数より、ルールを明確に管理できること、反復作業を自動化できること、画面を移るたびに別の操作方法を覚え直さずに済むことだ。v23 は前進しているが、基本的な要望もまだ残る。ここでは最初の使用感に加え、大きな変更を技術的に評価する。
Sophos Firewall v23 は現在 Early Access Program(EAP)の段階にある。過去の公開時期から、正式版は2026年12月になると予想している。ファームウェアを自宅ラボで約2週間試したが、本番環境では使用していない。操作性については私自身の観察であり、HA と WAF の性能値は Sophos によるものだ。
優れたファイアウォールのリリースは、新機能の数ではなく、理解できる判断と安定した運用で信頼を得る。
ルール管理:優れたフィルターだけでグループ表示をすべて代替できるわけではない
新しいルール表示は、ラボで気に入った変更の一つだ。連続した表、変更・固定できる列、検索とフィルターは有用だ。宛先、サービス、保護プロファイルを並べて比較できる方が、複数のルールを毎回開くより合理的だ。機器の識別情報と HA 状態が常に見えることも、作業の文脈を保つ助けになる。
ただし、グループ表示への批判は理解できる。初期のフィードバックでは、従来の折りたたみ可能なグループが新表示に再現されていない点が指摘された。ルールが多いと、フィルターがあっても長い表は把握しにくい。これは好みだけでなく、安全な管理に関わる。
Sophos のルール管理に関する説明によれば、既存グループとルール順序は維持され、所属グループは列に表示される。現在は両方の表示を選択できる。グループが削除されたわけではない。 表示方法が変わったのだ。議論されているタグによる整理は将来の可能性であり、現行ビルドで約束された機能ではない。
私は新表示が好きだが、大規模なルールセットを扱う管理者の事情も理解できる。数千のルールでは、フィルターや表示方法が実際の評価順序を明確に保つ必要がある。グループは全体の順序から独立したセキュリティ境界ではない。
約2週間使っても不満なのは、画面が統一されていないことだ。デザインや機能が場所によって異なる。複製操作も、どこでも同じ形で用意されているわけではない。レスポンシブな表示も部分ごとに差がある。設定画面を行き来すると特に目立つ。
似た作業には似た操作方法を期待する。ルール整理や類似設定の作成には、一貫した操作が必要だ。良い画面が一つできたことで、ほかの差がむしろ目立つ。Sophos には画面全体にまたがる改善を求めたい。
WebAdmin の HTTP/2 は歓迎するが、これらの問題を解決するものではない。特に遅延の大きい接続ではページのリソース転送に役立つ可能性がある。しかし操作ロジックは変わらず、設定変更時間が自動的に短縮されるわけでもない。ここでは条件をそろえた変更前後の測定は行っていない。
REST API:進歩を決めるのは検証可能な作業手順
REST API は v23 の有用な方向性の一つだと思う。繰り返す管理作業をすべてクリックで行う必要はない。API キー、OpenAPI 3.0、組み込みガイドは独自ツールの基盤になる。キー、有効期限、アクセスを許可する IP ホストは Administration > API access で管理する。
価値があるのは、現状を読み、差分を特定し、必要な変更を加え、保存結果を再読する管理可能な手順だ。複数拠点での反復作業を追跡しやすくする使い方が考えられる。ただし、私が実証した複数拠点展開ではない。
API があるだけで自動化が信頼できるとは限らない。到達不能の拠点は失敗として表示し、再試行で重複オブジェクトを作らず、部分的な失敗を記録する必要がある。私はそうした点で連携を評価する。
キーは管理された自動化ホストに置き、期限とネットワークアクセスを制限すべきだ。対話型ガイドは実際のリクエストを送れる。書き込み例は現実の設定変更なので、画面操作と同じように確認する。
機能の網羅性はまだ確認事項だ。既存の XML 自動化を置き換えるには、対象ビルドの OpenAPI 定義に必要な操作がすべて含まれている必要がある。Sophos は WAF の変更について引き続き XML API を明示している。方向は正しいが、実用性は対応範囲、エラー処理、権限で決まる。
WAF は便利になるが、容量には限界がある
Web Application Firewall に、サイトのパスエントリーごとのアクションが加わる。アプリケーション公開に有用で、SG/UTM9 との差も部分的に埋める。四つのアクションの安全上の意味は異なる。
| アクション | 文書に記載された動作 |
|---|---|
Protect | 通常の WAF 検査を維持する。 |
Block | 静的な HTTP 403 応答を返す。 |
Redirect | 設定した URL にクライアントを転送する。プロトコル、ホスト、ポート、パスを指定できる。 |
Passthrough | WAF 検査をせずに WebSocket を通過させる。 |
リダイレクトはクライアントの宛先を変えるのであり、内部でバックエンドを切り替えるものではない。WebSocket の例外も保護の追加ではない。保護するポータルと WebSocket 経路を併用するなら、どこを検査するか意識して決める必要がある。接続できることは検査された証拠ではない。
一つのパスルーティングエントリーには最大128パスをまとめられる。WAF ルール上限は初期値100で、200まで増やせる。ガイドでは既存ルールを Protect を既定アクションとして移行するとしている。画面と XML API の対応は明示されているが、すべての WAF 手順が新 REST API に含まれるという意味ではない。
Apache Event MPM も変更点だ。Sophos は worker の利用効率と同時リクエストへの耐性改善を説明している。発表にある約800の並列リクエストは、旧アーキテクチャが飽和し得た状況の説明だ。旧版共通の固定上限でも、新版の保証スループットでもない。
パスごとのアクションは具体的な改善だ。性能の約束は分けて考えたい。キューが改善しても、アプリが実用にならないほど遅い可能性はある。接続数より応答時間、エラー率、バックエンド遅延が重要だ。私は同等負荷での WAF 比較測定をしていない。ルール上限が増えても機器の性能が比例して増えるわけではない。
WebAdmin の HTTP/2 を WAF のプロトコル対応と混同してはいけない。リンクした Reddit では WAF の HTTP/2 は将来の要望として扱われている。返信は関心を示すが、約束ではない。v23 の機能とも HTTP/3 の保証とも書けない。
HA:300ミリ秒はアプリの無停止を意味しない
HA の変更は特に気になる。Sophos はピアの障害検出時間を4秒から300ミリ秒に短縮し、約13倍速い検出としている。
この数値は障害検出を示す。 通話、VPN、アプリが300ミリ秒後に正常になる保証ではない。残ったノードの引き継ぎ、隣接機器の転送、既存セッションの扱いも影響する。ping 一つでは十分に把握できない。
監視には SSD などのハードウェアも含まれる。ノードが HA リンクに応答していても、ストレージに問題があることは考えられる。ハードウェア健全性を切り替え条件に使うのは合理的だ。健全なノードで運用を続けても、原因調査や部品交換は必要になる。
通常のデータトラフィックから分離した経路で HA ハートビートを優先することも重要だ。Sophos によれば負荷に応じて優先度を調整し、遅れを障害と誤認するリスクを減らす。ガイドが述べるのはハートビート欠落と意図しない切り替えの大幅削減であり、完全な免疫ではない。
設計としては妥当だ。高負荷で理由なく切り替わるクラスタでは、検出が速くても意味が薄い。本番の受け入れ試験では両方を見る必要がある。私のラボの印象は HA 中断時間の実測でも、本番負荷での安定性の証明でもない。
DNS とパッチ状態:異なる二つの信頼
DNS over HTTPS は選んだリゾルバーまでの通信を暗号化する。DNSSEC は署名済み DNS データの署名チェーンを検証する。補完関係にあるが、DoH 自体は応答の真正性を認証せず、DNSSEC は問い合わせを隠さない。リゾルバーは問い合わせを知り、すべてのゾーンが署名されているわけでもない。
Sophos は自社または一般プロバイダーへの DoH と、DNS Protection の簡単な有効化を説明している。全クライアントが自動的にその経路を使うわけではない。ブラウザー独自の DoH、内部リゾルバー、プライベート名前空間も設計が必要だ。内部・外部名を正しく解決し、フィルターと DNSSEC 検証判断を理解できることを求める。
ホットフィックス表示は派手ではないが実用的だ。Backup and Firmware に適用済みセキュリティ更新の CVE、説明、日付、重大度、アドバイザリーへのリンクが表示される。Log Viewer、メール通知、Central Firewall Reporting もガイドに記載されている。
ファームウェア番号だけではパッチ状態をすべて説明できない。ホットフィックスの記録は個別修正の適用確認に役立つが、全脆弱性の修正や過去に侵害されなかったことを証明しない。
Sophos Fusion の定期ファームウェア計画には段階的展開と機器別例外が加わり、メジャー版は任意で含められる。私はテストグループから始め、重要機能を確認して次に進む。自動化は手間を減らすが、復旧計画の代わりではない。
DHCP、mDNS、ルーティングには独自の受け入れ確認が必要
DHCP は新 Control Plane に移る。Sophos はリース処理、予約数、サービス前のフラッド対策、画面設定の改善を説明している。見た目だけの変更ではない。リース、更新、予約、特殊オプションを確認したい。Web ページが開くだけでは PXE やめったに再起動しない専用機器の設定を確認できない。
mDNS リフレクターは選んだ VLAN・サブネット間でサービスを検出し、IPv4 と IPv6 に対応する。インターフェースとサービスを選択できる。ただしその後のデータ通信が自動許可されるわけではない。プリンターが見えても、ルール不足で印刷できない場合がある。設定が簡単だからと、ゲストから内部機器をすべて見えるようにしてはいけない。許可されないことの確認も必要だ。
FRR の更新と統合コンソールもある。BGP と静的ルート向け BFD は単独構成での実験機能と明記されている。検出するのは転送経路の障害で、HA ハートビートとは異なる。現段階では本番の依存機能にしない。
IPv6 IPoE、IPIP/DS-Lite を含む4in6トンネル、VNE を理解する DDNS は、日本の Xpass を含む接続方式を拡張する。エンドポイントと MTU/MSS の改善は、その方式を要求するプロバイダーに有用であり、IPv6 全般を解決するものではない。IONOS Cloud では公式イメージの Bring Your Own Image を使い、Marketplace 掲載はなく、ライフサイクルは手動管理になる。
ID:更新しても前提条件は自動でそろわない
Entra ID の拡張は Sophos Endpoint と Synchronized User ID の連携であり、ポータル認証の改名ではない。ガイドはオンプレミス AD と Entra のハイブリッド環境、UPN と sAMAccountName のマッピング、記載された Endpoint 2025.1 からの Windows 対応を説明する。Entra だけで識別できるわけではない。バージョン、ライセンス、SSO 構成が必要だ。
Google Workspace は Captive Portal、VPN Portal、Sophos Connect、WebAdmin の OpenID Connect IdP として記載され、IdP 側の MFA を利用できる。対象サービス群ごとに一つの IdP という制約もある。認証と認可は別だ。有効な Google アカウントが意図せず管理権限を得てはいけない。
MFA 登録 QR コードはメールで送信でき、新規導入では既定となる。既存・移行環境はポータル方式を維持する。未使用コードは24時間で失効する。登録コードには認証アプリの秘密情報が含まれるため、メールボックスと再登録手順の保護が必要だ。メール送付だけで安全な本人確認になるわけではない。
共有サーバーでは SATC と XDR Sensor を既存 Endpoint・AV と併用し、同一 IP の複数セッションにユーザー別ルールを適用できる。導入前に OS、ライセンス、具体的な他社製品の組み合わせを確認する。
Chromebook 拡張は Manifest V3 ベースで、サポート中のすべての SFOS を対象とする。v23 専用の更新理由ではない。共有端末では、ログアウトやユーザー交代でマッピングが確実に終了するかが重要だ。
AI と NDR:判断は見える状態に保つ
Sophos Fusion の Firewall Assistant 第1段階はルールに重点を置き、設定の読み取りと質問への回答を行う。意図的な例外はルール作成で、無効状態で表の最後に追加される。確認と有効化は管理者が行う。ガイドでは、Fusion SSO を通してその管理者が見られるデータとアクセス範囲を一致させている。
この境界は良いと思う。下書きでもオブジェクト、サービス、ユーザー、保護プロファイル、位置を確認する必要がある。無効でも保存済み設定への変更である。説明の巧さは安全の証明ではない。
Generative AI カテゴリーとアプリケーションフィルターは、Sophos AI Defense の承認サービス制御を支える。ドメインを許可しても、プロンプトに入れてよいデータは決まらない。ネットワーク制御ではすべてのアップロードを完全に検査できず、データ分類も代替しない。追加サービス、ライセンス、能力は個別に評価すべきだ。
NDR Essentials と NDR Active Threat Intelligence には、自動隔離や赤い Heartbeat を伴わないアラートが加わる。可視化と即時遮断を分けるものだ。Active Threat Response のすべての動作が無効になる意味ではない。自動応答のないアラートには担当者とエスカレーション経路が必要だ。
小さな変更では、メール Content Control Lists の ID 参照と、バックエンドの Web カテゴリー定義のバージョン管理がある。更新・復元時の設定整合性に影響する点だ。
アップグレード前に移行する
最も厳しい変更は AI ではない。Sophos はネイティブ eDirectory サーバー種別を削除する。v23 認証文書は、先に対応種別へ移行し、旧設定を削除しなければ更新が失敗するとしている。
これは実際の移行案件だ。代替連携でログインできても、自動識別、グループ対応、ルールが正しい証拠にはならない。ディレクトリー SSO はマッピングを別に検証する。問題を切り分けるため、私は ID 移行を終えてからファームウェアを更新する。
EAP1 という段階も境界だ。サポートはコミュニティフォーラムで行われる。私にとっては復旧手順のある管理されたテスト向けであり、公開発表は重要インフラへの採用承認ではない。
初期フィードバックが示すもの
EAP1 のフィードバックには、ルール表示の批判に加え VMware の報告がある。22.0.1 から更新後、ping と SSH は通るが、30分後も WebAdmin に入れなかったという。検索索引に収録された続報で、同じ利用者は約40分後に復旧したと述べた。
単独の報告であり、私は原因を再現していない。一般的な VMware の欠陥や正常な所要時間とは扱えない。管理アクセス、更新時間枠、復旧を考える材料にはなる。初期議論は変化が速く、続報や反例も重要だ。
Reddit のリリース議論の WAF 問題も、運用者が気にする不足を示している。背景情報であり、ベンチマークや確認済み欠陥の完全一覧ではない。
約2週間後の最初の評価
v23 の方向は好きだが、全体はまだ統一されていない。新ルール表示は前進で、REST API は管理可能な自動化に向けた正しい方向だ。デザイン、機能、レスポンシブ表示には、現代的な管理体験に届かない差が残る。
HA、WAF、パッチの透明性は、AI の看板より技術的に重要だ。発表された改善には注目するが、初期テストは負荷比較や本番クラスタの経験を代替しない。メーカー値と各環境の受け入れ確認が引き続き必要になる。
ラボでは引き続き試す。本番導入は私にはまだ早い。正式版までに、新ルール表示がほかの画面の基準になることを期待する。操作の統一、異なる画面サイズでの使いやすさ、類似作業の差の削減は、独立した新機能をもう一つ増やすより役に立つ。
また次回。
Joe


