Whoop 5.0:新たなスタンダードを打ち立てるフィットネストラッカー

Whoop 5.0:新たなスタンダードを打ち立てるフィットネストラッカー


はじめに

Whoop は、単なる歩数や消費カロリーではなく回復・負荷・睡眠にフォーカスすることで、フィットネストラッカー界の先駆者として地位を築いてきました。2025 年 5 月 8 日に発表された Whoop 5.0 は、先進的なヘルス機能、改良されたハードウェア、そして新しいサブスクリプションモデルで、このビジョンをさらに高いレベルへと押し上げています。本稿では、公式情報と、 Whoop 4.0 から乗り換えて 40 日以上使い込んだ個人的な体験を交えつつ、Whoop 5.0 を徹底解析します。

画面のないデザインは、データ解析に集中できるだけでなく、装着感も抜群。リアルタイムの数値を確認したいときは別デバイスが必要ですが、このミニマリズムこそが Whoop の真価──包括的なヘルスデータを取得する計測器としての強み──を際立たせています。健康を包括的に把握する必要性はますます高まっており、たとえばブライアン・ジョンソンのようなバイオハッカーが行うプロトコルの 45.9 % が測定専用である事実は、Whoop の存在意義を裏付けています。

Whoop 5.0 の新要素

ハードウェアとデザインの改良

通常モデルは前世代より軽量・小型化され、最大 14 日間のバッテリーライフ を実現(4.0 は 5 日で要充電だったので大幅改善)。これは、省電力チップと 26 Hz へ高速化した PPG センサーの恩恵です。

MG モデルは外見こそほぼ同じですが、バックルに導電電極を内蔵し、1 チャンネル ECG(心電図)を取得可能。ケースは 7 % 小型化しましたが、そのせいで 4.0 用バンドが使用不可なのは残念。投資家は喜ぶでしょうが……。

装着性とアクセサリー:
Body コレクション(シャツ、ショーツ、スポーツブラなど)に新しい Anywear Pod System が採用され、センサーをベルクロで衣服内に固定可能。普段はほとんど見えず、これが大きな利点。もちろん従来どおり手首装着もOKです。

充電問題:

  • Whoop ONEパッケージ:有線ドックのみ
  • Whoop PEAK & LIFE:マグネット式の新型 Wireless PowerPack 同梱。約 2 時間でフル充電でき、PowerPack 自体は約 30 日駆動。

最安プランだけが USB ケーブル必須なのは理解に苦しみます。Qi モジュールの原価は数十セントなのに……。とはいえ 2 週間持つバッテリーは本当に快適。Apple Watch は毎日充電しているので、Whoop から「充電してください」と通知が来ると「もう?」と驚き、前回を確認すると 12〜14 日前。時の流れは速い!

新しいヘルス機能

  • 血圧測定(β版)
    MG 版限定。PPG による推定収縮期・拡張期を トレンド表示(mmHg の具体値ではなく「↑/↓」)。初回はカフで校正。Whoop Labs の数万件データと特許出願アルゴリズムで実現した革新的機能。
  • EKG(Heart Screener)
    オンデマンドで 30 秒の 1 ch 心電図を取得し、AFib(心房細動)などを検知。結果は PDF で医師共有可能。
  • ホルモンインサイト
    月経周期を追跡し、ホルモン変動に基づくパーソナライズド提案を提供。
  • Healthspan & Pace of Aging
    9 つのバイオマーカー(睡眠、HRV、VO₂max など)で生理的年齢「Whoop Age」と加齢速度を算出。
  • 睡眠解析の強化
    新 Sleep Score で睡眠品質をより正確に評価。
  • センサーアップグレード
    PPG のサンプリング向上に加え、加速度センサーを多軸化。筋トレ検出が精緻化。温度・SpO₂ センサーも継続。

サブスクリプションプラン

会員種別価格 (USD/年)ハードウェア主要機能
Whoop ONE199Whoop 5.0、CoreKnit バンド、有線充電ドック睡眠・負荷・回復分析、パーソナルコーチング、VO₂max、ホルモンインサイト
Whoop PEAK239Whoop 5.0、SuperKnit バンド、Wireless PowerPackONE の全機能 + Healthspan、リアルタイムストレス、ヘルスモニター警告
Whoop LIFE359Whoop MG、Luxe バンド、Wireless PowerPackPEAK の全機能 + 血圧 (β)、EKG、AFib 検知

Apple Watch は約 350 USD で EKG がサブスクなしなのに、Whoop では LIFE に年間 359 USD……。

機能を深掘り

Healthspan と Pace of Aging

Healthspan は長期的健康最適化の切り札。Whoop AgePace of Aging で「どれだけ若く/速く老けているか」を可視化し、行動変容を強く後押しします。これは私の最推し機能。Apple Watch など多くのデバイスが数字を羅列するだけなのに対し、Whoop は具体的な改善策を示してくれる点が決定的に違います。

Whoop Age

努力は報われる――身体年齢は実年齢より若い。

科学的背景

老化研究の世界的権威 Buck Institute と 3 年かけて開発。寿命そのものではなく「健康寿命」を延ばすことが目的です。

Whoop Age を決める 9 指標

  1. 睡眠の一貫性
  2. 総睡眠時間
  3. HRゾーン1–3の運動時間
  4. HRゾーン4–5の高強度運動時間
  5. 筋トレ時間
  6. 歩数
  7. VO₂max
  8. 安静時心拍数 (RHR)
  9. 除脂肪体重 (LBM)

各指標がグリーンなら若返り、オレンジなら老化加速。Pace of Aging は直近 30 日の習慣で毎週更新され、−1x 〜 3x のスケールで視覚化されます。

Heart Screener(EKG)

MG 版のみ、22 歳以上対象。親指と人差し指を電極に当て 30 秒。正常洞調律・AFib・徐脈/頻脈を検出し、PDF で共有可能。私も AFib 経験者として、この在宅 ECG は革命的だと感じます。地域によって機能制限が異なる点には注意。

Apple Watch はサブスクなしで EKG。Whoop は LIFE 会員 359 USD/年……。

血圧測定(β)

MG 限定、トレンドのみ表示。起床後自動測定し、事前校正必須。妊婦や降圧剤使用者は対象外。価格に見合う完成度かは今後に期待。

ホルモンインサイト

女性の月経周期を追跡し、睡眠やストレスへの影響を可視化。医療目的ではない点を明確に。

その他注目点

  • リアルタイムストレス(PEAK/LIFE)
  • VO₂max & HRゾーン 精度向上
  • Advanced Labs(近日):血液検査データの統合

アプリ体験

ハード発売数日前に大規模リデザイン。ホームに Strain・Recovery・Sleep を集約し、深掘りはタブ化。軽快で安定。AI Coach は既存機能だが毎日活用中。新 Healthspan セクションがバイオハッカー心をくすぐります。

Strength Trainer とログの課題

手入力が煩雑、検索・画像・動画プレビューなし。ログブックもカスタム習慣が登録不可で、翌朝まとめて入力させられるのが面倒。AI Coach と音声対話できないのも残念。

オフラインとスマートウォッチ連携

オフライン閲覧不可、Apple Watch アプリも未実装。Whoop のバイブはアラーム専用で通知に使えず。時差変更時の「ジェットラグペナルティ」も改善途上。

睡眠 & 回復解析

Sleep Score が刷新され、深睡眠割合・連続性・HRV を反映。断続的な 7 時間は低評価に。データに神経質な人は要注意。ホルモンフェーズの統合も強化。回復% は HRV・RHR・皮膚温などで算出。発熱警告は的中率高し。夜間トレの睡眠悪化を裏付ける 430 万件の大規模研究は必読。

トレーニング & パフォーマンス

Strain reloaded

Cardio と Muscular Strain を分離。ベンチプレスのセット数と心拍で総負荷を計算し、筋トレ勢歓喜。

HRゾーン & VO₂max

インターバル走後のゾーン解析が秀逸。VO₂max 推定は Garmin よりやや低めだが一貫性あり。ライブ表示がないので GPS ウォッチ併用が吉。

4.0 との比較と競合製品

4.0 からの進化

バッテリー 3 倍、ECG・血圧追加、UI 一新、Healthspan 実装。

競合との比較

Oura Ring も生理的年齢を示すが、Whoop は 9 指標でより多角的。Fitbit や Apple Watch は GPS や通知で多機能だが、回復・負荷管理は Whoop が優位。サブスクと画面なしをどう評価するかが鍵。

Whoop はニッチで無類だが、Apple Watch は EKG をサブスクなしで提供。

新興ライバル:Amazfit & Polar

  • Amazfit Active 2 / T-Rex 3:99 USD〜、サブスク不要。心拍や睡眠精度は Whoop に劣るというレビューも。
  • Polar の“Whoop風”バンド(仮):サブスクなし、Precision Prime 技術で高精度心拍が期待。アルゴリズム面での追随が課題。

センサー精度

  • 心拍:上腕装着なら Whoop ≒ Polar H10、手首では高強度で誤差あり。Apple Watch は測定時の精度優秀だが 24h 連続ではない。
  • 睡眠:Whoop は「二軍トップ」評価(Quantified Scientist)。Oura や EEG タイプがゴールドスタンダード。

プライバシーとセキュリティ

Whoop は「データ販売なし」を宣言し、収益源はサブスクのみ。2FA と CSV エクスポート対応。ただし AI 機能で匿名データが外部サーバに送信される点は要監視。強固なパスワードと連携アプリの定期確認を推奨。

課題と展望

  1. アップグレード政治:以前は 6 か月で無償交換、今は有料。説明不足で炎上。
  2. 測定透明性:血圧・VO₂max の精度白書を公開してほしい。
  3. アクセシビリティ:画面なしは視覚・聴覚障がい者に不親切。音声出力オプションが望ましい。

14 日バッテリー、小型筐体、長期健康プラットフォームへの進化は◎。価格を抑えれば黄金期到来、さもなくばユーザー離脱の可能性。

個人的希望:Whoop が「健康のエアバッグ」として誰もが使える価格に。

まとめ

Whoop 5.0 はハード・ソフトとも大幅進化し、Healthspan・EKG・血圧など予防医療レベルの機能を搭載。ホルモンインサイトで女性にも配慮。ただしアップグレード方針と高額プランが足かせ。

私にとって Whoop は身体理解とヘルスハックの必須ツール。データ品質は群を抜いており、セキュリティ面も納得しています。とはいえ EKG を“贅沢品”にしないでほしい。他社も画面レス+サブスクなしで追随するはず。エコシステムに囲い込まれず、乗り換え自由なのが理想です。

健康第一、トレーニングでは「痛みは一瞬、栄光は永遠」を忘れずに。

あなたのジョーより

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